2005年以前、ハイヴァン峠は国道1A号線において最も難度の高いルートの一つとされていました。全長約21kmにおよび、急勾配や急カーブが多く、日常的に濃霧が発生するため、輸送活動に多大な困難をもたらし、交通事故のリスクが極めて高い危険箇所でした。山を貫くトンネルを建設するという構想は、フランス植民地時代の鉄道計画ですでに検討されていましたが、本格的にプロジェクトが始動したのは2000年代初頭のことでした。
プロジェクトの主な歩み
- 着工:2000年8月27日
- 開通:2005年6月5日
- 資金源:JICAを通じた日本の政府開発援助(ODA)
- 総投資額:約1億2,700万米ドル
当時のベトナムで初導入となった最新のNATM工法(新オーストリアトンネル工法)を用い、約5年の歳月をかけて施工されました。完成時、ハイヴァントンネルは東南アジア最長の道路トンネルとなり、世界でも屈指の長さを誇るトップ30の道路トンネルに名を連ねました。
拡張およびアップグレードのプロセス
増大する交通需要に応えるため、2016年から2021年にかけて全線延長12.6km超におよぶ「第2ハイヴァントンネル(ハイヴァン2)」プロジェクトが実施されました。この事業は、既存トンネルと峠道のリニューアル・改修、および新トンネルの新設という2段階で進められました。完成後は2本のトンネルがそれぞれ一方向通行へと整理され、渋滞の解消と走行安全性が飛躍的に向上しました。システム全体にも高度道路交通システム(ITS)やSCADA(監視・制御システム)が導入され、24時間365日の自動集中管理・運用体制が整えられています。2025年現在までに、ハイヴァントンネルは累計4,800万台以上の通行車両を安全に支え続けています。南北大動脈の交通輸送能力を強化しただけでなく、ベトナム中部における近代交通インフラの象徴として輝きを放っています。
写真:南北交通の大動脈を結ぶ架け橋となったハイヴァントンネル