フエのニャールオンが持つ最大の特徴であり真髄は、世界でも類を見ない独自の構造技術にあります。
金属を一切使わない木組み構造
どんなに大規模な建物であっても、家屋全体がほぞ(枘)と継手のシステムのみで組み立てられています。柱、梁、桁はすべてほぞ継ぎで連結され、木や竹の楔(くさび)や栓で固定されており、釘や鉄のネジは一本も使用されていません。これにより解体や移築が容易になるだけでなく、大工職人の卓越した技術が示されています。
土台の構造
床下・土台には、防蟻・防虫効果を高めるため、清潔な土に石灰と灰を混ぜ合わせたものが敷き詰められます。この混合土を何層にも重ねて突き固めることで、ひび割れのない強固な地盤が作られます。貴族階級の邸宅では、青石や大理石が敷かれることもありました。
写真:フエのニャールオンの内部建築柱の構造と間取り
典型的なニャールオンには56本の柱があり、湿気やカビを防ぐために基礎となる自然石の上に据えられています。主柱(コットカイ)と補助柱(コットクアン)によって、室内は明確に「3間2翼(3 gian 2 chai)」に仕切られます。
- 中央の間:最も広い空間で、先祖の祭祀や来客の応接に使われ、敬意と厳粛さが表現されます。
- 両側の間および翼部:やや小さめの空間で、家族の日常生活や休息の場として使用されます。
壁と屋根の工法
- 土壁:粘土に藁と竹を混ぜ合わせた素材で作られます。この混合土を足で丹念に練り上げ、竹木で組んだ下地フレームにリズミカルかつ力強く塗り重ねることで、強固な結束力を生み出します。塗り終えた後は表面をなめらかに整え、石灰モルタルを塗布することで、まるでレンガ壁のような風合いに仕上げます。
- 屋根:急勾配の屋根には、平瓦(リェット瓦)や陰陽瓦が厚く2層に敷き詰められます。これにより雨水を素早く排出し、激しい風雨に耐えるだけでなく、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を保ちます。
精緻を極めた木彫細工
ニャールオンの最も際立つ特徴の一つは、細部に施された精緻を極める彫刻装飾です。梁、垂木、柱、扉に至るまで、渦巻く雲、草花、対句、四季を象徴する四君子(梅・蘭・竹・菊)などの意匠が丹念に彫り込まれています。これらは単なる装飾にとどまらず、風水的な意味合いと高い美意識を備え、住まい全体を息づく木彫芸術へと昇華させています。
これらの精緻な建築技術は、ニャールオンに永続的な美をもたらすだけでなく、かつてのフエの職人たちの卓越した技量、独創性、そして自然と調和する生き方の哲学を如実に物語っています。
写真:深い趣をたたえるフエの歴史あるニャールオンこうした卓越した技法は、ニャールオンの堅牢な美しさを支えるだけでなく、古都フエの人々の才覚と自然と調和する生活哲学を今に伝えています。これらの文化遺産を実際に間近で体感するなら、Sovaba Travelがご案内するフエ庭園住宅(ガーデンハウス)探訪ツアーへぜひご参加ください。ノスタルジックな空間に浸りながら、古都の建築美の粋を深く味わっていただけます。