クアンビン省西部に連なる山々の懐で、グオン族は幾世代にもわたり独自の文化遺産を守り続け、この地の豊かな個性を築き上げてきました。彼らはかつてのミンホア県(行政区域の再編後はクアンビン省およびクアンチ省の一部地域)を中心に暮らすコミュニティであり、人口は約3万5,000人〜4万人です。
研究者によると、グオン族のルーツはレ・タントン(黎聖宗)皇帝の時代以降に、タインホア省、ゲアン省、ハティン省からボーチン地域へと移住した人々にあるとされています。何世紀にもわたり先住民と融和しながら独自のアイデンティティを形成し、グオン語、素朴な伝統衣装、そしてサックブア歌、ホートゥオックカー(魚毒漁の労働歌)、ヴィードゥム歌などの豊かな民間伝承歌謡を受け継いできました。これらの価値は、地域の人々の精神生活に欠かせないものとして世代を超えて今なお大切に受け継がれています。

グオン族の暮らしは、深い山林や段々畑、源流の清流と密接に結びついています。日々の労働や生活の中で、彼らは素朴で穏やか、温かいおもてなしの心と深い愛国心を持つ人々として知られてきました。歴史的にも、フランス植民地支配に抵抗したハムギー皇帝を支え、勤王(カンブオン)運動に呼応したグオン族の結束の精神が刻まれています。
現代の生活様式が広がる今日でも、旧暦3月の満月祭りはグオン族にとって最大の祝祭です。日頃の農作業を終えた人々が集う憩いの場であるだけでなく、地域の結束を強め、風習や民謡、伝統の価値を次世代へと受け継ぐ貴重な機会となっています。これは、グオン族が自らの文化の神髄を静かに守り続け、山岳地帯ならではの魅力を永く伝承していくための大切な営みなのです。




