クアンビン料理が海に由来する力強く濃厚な辛さで印象づけるのに対し、フエ料理は繊細さ、手の込んだ調理法、そして味わいの調和で知られています。フエ料理における辛さは決して強烈すぎず、穏やかに溶け合い、古都ならではの独自の特色を作り出しています。
一品一品に調和する繊細な辛さ
かつてベトナムの都であったフエの食文化は、宮廷料理のスタイルから深い影響を受けています。唐辛子、胡椒、アミの塩辛ペースト(マムルオック)を使用する点は共通していますが、フエ料理の辛さはクアンビンに比べてどこか上品で軽やかです。フエの人々は粉唐辛子、唐辛子の油漬け(オットチュン)、白胡椒を好んで使用し、急激な刺激ではなく、じわじわと広がりながら味覚を刺激する辛味を作り出します。
フエの代表的な辛い料理
フエ風牛肉米粉麺(ブンボーフエ) – 骨から取った甘みのある出汁にフエ産アミの塩辛ペーストのコクが加わり、唐辛子の油漬けによるマイルドな辛さが引き立つ名物料理です。
シジミご飯(コムヘン) – 冷やご飯、ピリ辛に炒めたシジミ、カリカリの豚皮揚げ、そしてすっきりとしたシジミスープが見事に調和した一品です。
バインベオ・バインナム・バインボッロック(フエ伝統の蒸し米粉餅各種) – 軽食の餅料理ですが、添えられるタレには刺激的な辛さの唐辛子油漬けが必ず入っており、風味を一層引き立てます。
フエ風エビの甘酸っぱい発酵漬け(トムチュア) – 独特の発酵名物料理で、食欲をそそる酸味と辛味があり、通常は茹で豚肉や生野菜と一緒に食べられます。
辛味・酸味・塩味・甘味の絶妙な調和
クアンビンとは異なり、フエ料理は辛さだけに焦点を当てるのではなく、辛味・酸味・塩味・甘味を調和させています。特に、フエの人々は辛いものを好みますが刺激が強すぎることはなく、唐辛子の油漬けや粉唐辛子で辛さを調整し、他の素材の味を損なうことなく全体をバランスよくまとめ上げています。
写真:フエ料理の特徴 – 繊細で味わい深い辛さ