レートゥイのホー・ホアン民謡 - ベトナム国家無形文化遺産

ベトナム中部

クアンビン

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更新: 24/09/2026

1. レートゥイのホー・ホアン民謡とは?

レートゥイのホー・ホアンは、クアンビン省レートゥイ県特有の伝統民謡であり、共同労働や地域生活の中から生まれました。これは単なる舞台芸術にとどまらず、キエンザン川が流れ、ラオス風(熱風)と白い砂浜に囲まれたこの素朴な土地に暮らす人々の「息吹」でもあります。文化資料によると、レートゥイのホー・ホアンは切なく深い余韻に満ちた調べを持ち、故郷への愛から日常の哀歓に至るまで、働く人々の心情を鮮やかに映し出しています。

「ホー・ホアン(Hò khoan)」という名称は、労働の際のリズミカルな掛け声に由来しています。「ホー(Hò)」はリズムを取るための掛け声を意味し、「ホアン(khoan)」はキエンザン川を行き交う舟の櫂のゆったりとしたしなやかな動きを連想させます。この芸能の大きな特徴は、個人と集団による即興性に富んだ対話形式の歌唱(掛け合い)であり、素朴ながらも深みのある方言が用いられる点にあります。大がかりな舞台や豪華な楽器編成は必要なく、ホー・ホアンは二弦琴(ダン・ニー)の音色、木魚の音、米をつく杵の音、あるいはシンプルな手拍子と調和するだけで、十分に人々の心を揺さぶります。

素朴な日常生活から生まれた民謡の調べ

写真:素朴な日常生活から生まれた民謡の調べ

2. レートゥイのホー・ホアン民謡の起源と歴史

レートゥイのホー・ホアンは、15世紀頃、穏やかなキエンザン川のほとりに位置するレートゥイの地で誕生しました。土地を開墾し村を拓いた開拓初期から、舟の櫂を漕ぐリズム、米をつく杵の音、稲穂が揺れる田畑、あるいは川を行き交う渡し舟の上で、その歌声は響き渡っていました。それは労働者が疲れを癒やすための手段であっただけでなく、故郷への愛や豊かな暮らしへの願いを託した心の声でもありました。

16世紀に入り、キエンザン川が生活と交易の重要な大動脈となると、民謡の詩句はさらに洗練され、中部地方の魂を色濃く宿したレートゥイのホー・ホアンとして確立されました。タイン・ゲー・ティン(タインホア・ゲアン・ハティン)地方の民謡との交流を経ながらも、ホー・ホアンは素朴で奥深く、叙情性に富んだ独自の特徴を保ち続け、水辺の郷土に生きる人々の純朴な心をありのままに映し出しています。幾多の歴史の荒波を経てもなお、ホー・ホアンの歌声が途絶えることはありませんでした。民族独立をかけた抗戦の時代には、砲火の中で響き渡る民謡の調べが不屈の勇気をもたらし、「爆音をかき消す歌声」として軍民を鼓舞し、平和な未来への信念を支え続けました。

2017年5月8日、レートゥイのホー・ホアンは文化スポーツ観光省により国家無形文化遺産として正式に認定されました。この栄誉ある認定は、独自の民謡形式の価値を認めるだけでなく、500年以上にわたりキエンザン川流域の人々の心を育んできた文化遺産の力強い生命力を称えるものでもあります。

レートゥイの人々にとって歳月を超えて流れ続ける命の源であるホー・ホアン

写真:レートゥイの人々にとって歳月を超えて流れ続ける命の源であるホー・ホアン

3. 文化的空間と演奏環境

レートゥイのホー・ホアンが育まれる文化的空間は、人々の日常生活と密接に結びついています。田起こしや精米、キエンザン川での舟漕ぎといった共同作業の場や、村の祭りなどで歌われてきました。例えば、伝統的なボートレース祭りや9月2日の国慶節のイベントでは、観光客も船上での掛け合い歌唱に参加することができ、活気あふれる空間を体験することができます。

  • 陸のホー(Hò cạn):田畑での農作業、精米、家づくり、木材運びの際に歌われ、力強いリズムで労働を鼓舞します。

  • 水のホー(Hò nước):川の上で舟を漕ぎながら歌われ、情緒豊かで叙情的に愛や心情を語りかけます。

ホー・ホアンは、日々の労働、村祭り、結婚式、そして特に9月2日の国慶節に開催されるレートゥイ伝統ボートレース祭りにおいて欠かせない存在です。主な演奏形態は、ソロの歌い手(リーダー)と合唱隊による掛け合いであり、親しみやすく活気にあふれ、地域色豊かな雰囲気を醸し出します。今日では、レートゥイのホー・ホアンは文化プログラムや学校教育、観光アクティビティでも披露されており、伝統的な文化価値を次世代へと継承し広める役割を果たしています。

国家無形文化遺産への認定

写真:国家無形文化遺産への認定

4. レートゥイのホー・ホアン民謡ならではの特徴

レートゥイのホー・ホアンの最大の魅力は、素朴でありながら洗練された掛け合いの歌唱様式にあります。先唱者には機転の良さと柔軟な即興力が求められ、応唱者には機知に富んだ表現力と豊かな民間語彙が求められます。このような自然な掛け合いこそが、この伝統芸能に独自の魅力を生み出しているのです。

ホー・ホアンには、「リアチャウ(Lỉa trâu)」「マイニャイ(Mái nhài)」「マイルオイ(Mái ruỗi)」「マイチェ(Mái chè)」「マイネン(Mái nện)」「マイバー(Mái ba)」「マイサップ(Mái xắp)」「マイホーコイ(Mái hò khơi)」「マイホーナウサム(Mái hò Nậu xăm)」と呼ばれる9つの代表的な歌調(マイ)があります。それぞれの歌調が独自の旋律、リズム、感情の陰影を持ち、山間部から平野、河川域、沿岸部に至る住民の多様な労働生活を反映しています。

歌詞には親しみやすく情景豊かな地方の言葉が使われ、故郷、労働、男女の愛、人情、そして普遍的な人間的価値が歌い上げられます。伝統的な五音音階、シンプルな伝統楽器、そして即興の歌唱法が融合したレートゥイのホー・ホアンは、強い生命力を持ち、コミュニティを結びつけ、キエンザン川流域の文化的魂を受け継ぐ民間芸術となっています。

5. レートゥイのホー・ホアン民謡の歴史的・文化的価値

2017年5月8日、文化スポーツ観光省は決定第1666/QĐ-BVHTTDL号に基づき、レートゥイのホー・ホアンを国家無形文化遺産として正式に認定しました。この認定は、その芸術的価値を称えるだけでなく、数ある文化遺産の中から選ばれ国家の象徴となったことで、クアンビン省の文化的アイデンティティを守る歴史的役割をも浮き彫りにしています。

レートゥイのホー・ホアンは、クアンビン省の民俗文化の神髄であり、幾世代にもわたる人々の記憶、魂、そして生活のリズムが刻まれています。文化的な観点からは、単なる歌声にとどまらず、地域社会を結びつけ、労働の辛さを和らげる絆であり、海辺の開放的で力強い気風と山間部の重厚で奥深い情緒を併せ持った地域特有のアイデンティティを映し出しています。歴史の歩み、とりわけ過酷な戦争の時代において、レートゥイのホー・ホアンは『戦火のビン・チ・ティエン』などの調べを通じて愛国心を鼓舞し、ビン・チ・ティエン地域の人々の不屈の意志を奮い立たせ、過酷でありながらも誇り高き抗戦の気迫を生き生きと再現しました。

この美しい伝統文化を守るため、若い世代へ情熱を受け継ぐことが急務となっています
写真:この美しい伝統文化を守るため、若い世代へ情熱を受け継ぐことが急務となっています

レートゥイのホー・ホアンは、単なる年中行事の文化活動ではなく、過去と現在をつなぎ、人々と愛する故郷とを結ぶ架け橋でもあります。幾度もの増水を静かに見守りながら流れるキエンザン川の上で、響き渡るホー・ホアンの調べは、先祖からの温かいメッセージのようであり、故郷を離れた人々が自らのルーツへと立ち返るための静寂のひとときのようです。いつの日かクアンビン省を訪れる機会がございましたら、ぜひキエンザン川の船着き場に立ち、風に乗って漂うホー・ホアンの調べに耳を傾けてみてください。きっとその瞬間、心の中に故郷からの切なる呼び声が響いてくるのを感じられることでしょう。 

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