グエン朝時代の銅製施釉工芸である「フエのファップラム(Pháp Lam)」は、銅または銅合金の素地に色鮮やかな釉薬を焼き付けて美観を高める伝統技法です。素材を巧みに組み合わせたこの独特な美術様式は、主に宮廷装飾として用いられ、グエン朝(1802〜1945年)の時代にのみ独自の地域的発展を遂げました。フエのファップラムは、絵画のように釉薬の素地の上に直接描く「画法瑯(がほうろう)」の流れを汲んでおり、仕切り線を用いる「有線七宝(掐糸法瑯)」とは一線を画しています。
単なる装飾品にとどまらず、ファップラムは衝撃や風雨への耐久性にも優れており、室内外を問わず幅広く活用されました。例えば、大型の平面パネルは建築装飾に、花瓶や香炉などの小物は儀礼用具として重宝されました。歴史的記録によると、フエのファップラムはその鮮やかな色彩と精緻な技術から「黄金の筆致」と称され、フエの建造物に荘厳な美しさを添える重要な役割を果たしました。





